コラム
新入社員に電話応対を丸投げすると危険!その理由とやるべきこととは
こんにちは! nibloomの講師・北村朱里です。新しい社員が入ってきたら最初の仕事としてとりあえず電話応対を任せよう、と考えている会社もあるかと思います。でもそれは実はとても危険な行為かもしれません…!
今回のコラムでは、なぜ危険なのか、最悪の結果にならないためにはどうしたらいいのかを解説します。「電話応対」は新人を辞めさせる毒にもなり得ますが、やり方によってはぐんぐん成長させる力にもなるのです。
■電話応対は想像以上に難しいもの
今でこそ携帯電話が広く普及しましたが、経営者や管理職の方の中には「子どもの頃は固定電話しかなかった」という人も多いでしょう。北村も、中高生の頃なんかは友だちの寮に電話して取り次いでもらったり、ボーイフレンドの自宅に電話をかけてたまにパパが出るとドキドキしたりした思い出があります(笑)。一方、今の新入社員の世代はそもそも固定電話を使った経験がなく「電話の取り方がまったくわからない」という人も多いもの。そのことを上司の立場としてはまず知っておかなくてはいけません。ついつい自分と同じ経験があると思い込まないことが重要です。
そして、入ったばかりの会社でいきなり電話を取る、つまり「知らない相手から知らない話を聞き、よく知らない人に取り次ぐ」のは想像以上に難しいということも忘れてはなりません。さらに新入社員には緊張やプレッシャーといった心理的障壁が加わるので、難易度はより一層高くなるのです。
■新入社員に電話応対を丸投げすると危険な理由
もしも上記のようなことを忘れて新入社員に電話応対を丸投げしてしまったとしたら、どんな危険性があるのでしょうか。
まず、お客さまや取引先からの電話の対応で大きな不備があった場合、クレームに発展し、信用失墜や売り上げ機会損失などにつながるのは想像に難くないところでしょう。これだけでも会社としては大事なものを失うことになります。
加えて、そのトラブルの対処をするために上司のリソースが消費されるため、本来の業務が遅れるなどして生産性の低下につながります。
そして一方その頃、電話応対をした新入社員はどう感じているでしょうか。自分のせいで迷惑をかけたと落ち込んでいるか、いきなり電話応対を任せられたせいでこんなことになったと怒りを覚えるか、だいたいどちらかです。前者の場合はモチベーションの低下から退職などにつながる恐れがあります。後者の場合は、口コミやSNSなどで会社の悪評を拡散されるかもしれません。いずれにしてもコツコツと積み重ねてきた会社の財産を一瞬にして失うことになりかねないのです。
■電話応対を任せる前にすべきこと
では、新入社員に電話応対を任せるのは悪い事なのでしょうか? 必ずしもそうではありません。丸投げするのが危険なのであって、きちんと段階を踏んで任せればむしろ新入社員が成長する有効な手段になります。
新入社員に電話応対を任せる前に何をしたらいいのでしょうか。以下に挙げていきます。
・社内の組織図や取引先のことを教える
「知らない相手から知らない話を聞いてよく知らない人に取り次ぐのは難しい」と前述しました。この「知らない」を「知っている」に近づけるほど、難易度は下げられます。そこで、社内の組織図と在籍している社員、よく電話がかかってくる取引先や担当者について新入社員に教えることから始めてください。少なくとも社名・部署・名前があればよいですが、できれば担当している業務や特徴などの補足情報もあるとベターです。また、顔写真も含めて一覧できる図にするとより覚えやすくなります。電話応対で顔を見るわけではありませんが「会った時にこういう印象だったな」「前にこんなこと言っていたな」と関連づけると記憶しやすくなるからです。作るのは手間がかかるかもしれませんが、一度作ってしまえばあとは人が入れ替わった時の更新だけでいいので、今後の新入社員のためにも作ってしまうことをおすすめします。
・電話を取る環境を整備する
電話を取りやすい環境を整えると、作業効率が上がりミスを抑制できるだけでなく、これから電話を取る新入社員のモチベーション維持向上にも寄与します。電話機の周りには物を散らかさずにスペースをとり、電話を受ける人が右利きであれば電話の右側にメモ用紙とペンを置きます。メモ用紙は十分な量を用意し、無くなる前に補充してください。ペンはインクが切れたり応対中に落としたりした場合に備えて2~3本置いておくとよいでしょう。応対の際によく使うマニュアルや資料などがあれば手の届きやすいところに配置し、インデックスを活用するなど検索性を高めておくとよいです。あとは新入社員に電話を取りやすい位置に座ってもらえばOKです。
・経験に合わせてフォローする
指導をする前に、その新入社員に電話応対や接客の経験があるかどうかを聞いてみてください。前述したように世代的には固定電話を使った経験がない人が多いはずですが、アルバイトなどで電話応対や接客をしたことがある人もいます。本人の現状レベルと大きく乖離する指導をしてしまうと無駄が多いばかりか本人のモチベーション低下にもつながります。未経験の人には電話機の使い方や第一声の挨拶といった基礎から教え、経験のある人には「アルバイトの時はこうやっていたと思うけれど、うちの会社の場合はここがこうなっていて…」というふうに経験と紐づけながら教えていくと効果的です。
・ロールプレイングを行なう
電話応対に慣れていない場合は、実際の応対をする前にロールプレイングをやってみましょう。この時のポイント1つ目は、最初は簡単な内容から始めていき徐々に難易度をあげることです。最初から難しくすると自信をなくしてしまいますし、簡単なものばかり続けてもスキルアップになりません。「ギリギリできる」くらいを狙うのが最も効果的です。2つ目は他の社員を巻き込むことです。例えばロールプレイングの相手役を入社2~3年目といった新入社員にとって身近な先輩に頼むなどです。皆が見守ってくれているという安心感を醸成でき、先輩たちとの関係構築につながります。何日かにわたってロールプレイングするのであれば、日によって担当する先輩を替えるのもよいでしょう。社内でより多くの人と関係を構築することで新入社員の定着につながります。また、先輩社員の経験値アップにも寄与します。3つ目はメモの取り方まで教えることです。「聞く・話す」と「書く」の同時進行につまづく新人は少なくありません。頻出語は略語や記号を使う、ゆっくり復唱しながら書き取るといったコツを伝え、応対しながら書けるようになるまでフォローしてください。
・電話機の操作を教える
新卒世代は固定電話に慣れていないと前述しましたが、そのような人たちにとってビジネスフォンはなおのこと操作が複雑に感じられるものです。慌ててパニックになってしまうこともあるので「かけるときは2番を押す」「保留はここを押す」のように操作方法を書いて貼っておくといいかもしれません。操作に不安がなくなることで応対そのものに集中でき、応対の質向上に役立ちます。
■電話応対を始めた後で重要なこと
新入社員が電話を取り始めたら、その後のフォローも重要です。初めてだと失敗することもありますが、失敗したことを決して責めてはいけません。ここで失敗をネガティブに捉えてしまうとやる気が低下するだけでなく信頼関係にも影響します。どんな結果であれ、チャレンジしたことを大いにほめてください。
そのうえで、間違っていることやうまくできなかったことはそのままにせず、しっかりフィードバックしてください。ポイントは、間違いは間違いだと濁さずはっきり伝えること。そして「あなたはダメ」という人格否定ではなく「この行為が間違っている」という行為ベースで伝えること。そして「こうするのが正解」「次からこうするとよい」ということまでセットで教えることです。
また、応対をしていくプロセスで見えてきたその人の良いところは積極的に伝えましょう。例えば声がいいとか、丁寧な姿がいいといったことです。こういうことは時間が経つほど言いづらくなるので、気付いたその日に言うのがポイントです。緊張して自信がない初期段階こそ、どんな小さな褒め言葉も励みになります。折に触れて上司の言葉から「励み」を得ている新入社員は上司に信頼を寄せ、会社に愛着を持つようになるものです。
さらに経験を重ねていくと、その人が何を苦手としているのか傾向が見えてきます。それがわかったら、また先輩社員の力を借りてロールプレイングの機会をつくるとよいでしょう。出来ていないことを本人に指摘するとネガティブに受け取られてしまうと思うかもしれませんが、むしろそこは率直に伝えたうえで親身になって一緒に解消していくほうがエンゲージメントは高まるものです。
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