コラム

2023-05-09 12:59:00

営業ノウハウはマニュアル化できる!そのメリットとは|nibloomコラムvol.35

 

営業の部署で新入社員を迎えたとき、多くの企業で頭を悩ませるのが「営業のノウハウを教えること」だと聞きます。例えば販売する商材の知識は難なく教えられても「どんなふうに話せばお客様が買いたい気持ちになってくれるのか」を教えるのは難しいということです。ではどうすれば営業パーソンを育成できるのか…カギは「マニュアル化」にある!そのメリットについて今回は解説します。

■なぜ営業ノウハウを教えるのは難しいのか

それは、商品知識などが客観的に説明可能な「形式知」であるのに対し、営業ノウハウが個人の経験や勘に基づく「暗黙知」に留まっているからです。例えばある会社に営業職が5人いて、その中で成績ダントツのAさんが会社の売上の半分を支えているとします。しかしAさんがなぜそんなにたくさん契約を取れるのか、上司も同僚もAさん本人もわかっていません。Aさんは素晴らしい営業ノウハウを持っているはずなのに、誰もそれについて説明ができないのです。これを暗黙知といいます。

■今すぐ取り組まなければ倒産の危機?!

このままでいちばん困るのは、Aさんが退職した場合。単純に売上の半分を失うというだけでなく、会社として「Aさんが持つ営業ノウハウ」をも失うからです。欠員を埋めるべく新人を採用しても、その新人がAさんのようなスーパーマンでない限りは、Aさんがいた頃の売上に戻すことは不可能です。先の見えない売り上げ低迷に社員の志気は下落し、採用活動を行なう余裕もなくなり、会社の運営は立ち行かなくなります。縮小あるいは倒産の危機が訪れてもおかしくありません。

■マニュアル化のメリットはこんなに大きい

では、Aさんが在職しているうちにそのノウハウを形式知化、マニュアル化できたとしたらどうなっていたでしょうか。最大のメリットは、Aさんという個人が持つノウハウを「会社の財産」に変換できることです。そうすれば、Aさんが退職してもこれから採用する新人にいくらでもそのノウハウを伝えられます。もちろんノウハウを学んだからといってすべての社員がAさんと同じ成績を出せるわけではありませんが、下地ができることでスキルが底上げされ、全体をレベルアップできることは間違いありません。未経験でも一人前の営業パーソンに育て上げられるようになることで、採用できる人材の幅が広がり、結果的に採用コスト削減にもつながります。

また、マニュアルがあることで教える側の負担が大幅に削減できるのも利点です。先輩が長時間付きっきりで教えるのではなく、例えば午前中はマニュアルを読み込んで自己学習、午後はその知識を使って先輩を相手にシミュレーションといった構成も可能となります。その結果、空いた時間で先輩は自身の営業活動を行なうことできるため全体の生産性がアップし、新人にとってもメリハリができることで学習効果の向上が見込めます。

マニュアル化のメリットは、人材育成や目先の売上アップに留まりません。社内に優秀な営業パーソンが増え、実績が積み重なった結果、さらに大きな契約先を狙うなど会社としての次の挑戦へ踏み出すことができるのです。

なお、マニュアル化することで社員の個性を埋没させてしまうのでは、という声も聞かれますが、むしろマニュアルという下敷きがあることで各自の個性は発揮されやすくなります。最初はマニュアルを充実になぞることからスタートし、慣れて成果が出てきたら次第にオリジナリティを載せるという「守・破・離」のステップを踏んでいくとよいでしょう。

■マニュアル化はどうすればいい?

nibloomの講師・北村朱里は、この「トップ営業パーソンのノウハウをマニュアル化する」ということを過去に長く取り組んでいました。保険の電話営業をするコールセンターで、人材育成を担当することになった時です。最初は育成と言われてもそもそも新人に何を教えたら契約が取れるようになるのかわからなかったので、まずセンターでいちばん営業成績の良い人の応対の録音をひたすら聞きました。何度も聞いて分析するうちにその人の”勝ちパターン”のようなものが見えてきて「これをマニュアルに落とし込んで研修すれば、誰でもある程度の成績は出せるようになる」と確信したのです。これが始まりでした。

それから北村はこのセンターの研修プログラムを確立し、売上向上と発展に寄与してきました。この経験が今もお客様に研修の企画提案をする際の基礎となっています。

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